駄菓子屋ととの画像

「駄菓子屋とと」は昭和風の昔ながらの駄菓子屋です。
完全に昔あったような建物や商品をそろえることはできませんが、
でも、それに近しいものにしたかったのです。

地域の駄菓子屋さんは、子どもたちが自転車で行けるような
距離にはなくなってしまいました。
近いものでも、コンビニやスーパー、商店の一角のワンコーナだけです。

駄菓子屋を懐かしいと思える年代は、
焼け野原世代から団塊ジュニア世代まで幅広いものです。
ひとくくりに懐かしいと表現しても、実は様々な変遷があります。

ですから、どんな年齢層にも懐かしいと感じられる空間を
作ること自体無理があります。
なので、あくまで昭和「風」なのです。

建物は地元の大工さん「 てづくり工房・堀田建築」さんに
いろんな無理をいって作っていただきました。
土台はブロックではなく切り出した石。
壁も土壁、外は焼杉です。
灯りも白熱灯風の質素なものです。

いま子ども時代を送っている皆さんには、
懐かしいというよりも、目新しいものに映るでしょう。
セン抜きを使ってコーラのびんを開けたり、
見たこともないクジや、
食べ方もわからないようなお菓子など
不思議なものでいっぱいです。

親御さんの、そしてそのまたその親御さんも、
お父さんでもお婆さんでもなく、
ただの子どもであったあの日が
また近所に帰ってきました。

夕暮れ時の
そこかしこから聞こえる包丁やラジオ・テレビの音
美味しそうなご飯の香り
子どもを呼ぶお母さんの声
チカチカと灯る街灯
遠くに見える山の端(は)

いまの子どもたちが、やがて大人になり、
子どもを育てるようになったとき、
懐かしいと言ってもらえることを祈って。